現代のF1は、オーバーテイクの難しい空力マシンであり、
給油も禁止されているため、トラックポジションを重視する戦略が多く見られます。
今回は、トラックポジション重視とはどういう戦略なのか、
なぜトラックポジションを重視するのかを解説しようと思います。
トラックポジション重視とは
トラックポジション重視とは、文字通り、コース上での順位を重視する戦略のことです。
これだけを見ると当たり前になってしまうので、その反対から解説します。
トラックポジション重視の反対は、ペース重視と言えます。
レースは速さを競うので、自分が最もレースを速く走れるように
どのタイヤをどう使うのかを考える戦略がペース重視の考え方です。
反対に、レースは速くゴールしたもの勝ちと考えるのが
トラックポジション重視の戦略であり、
要は、たとえペースが悪くても抜けれなかれば良いという考え方です。
ただ、必ずしもペース重視とトラックポジション重視の戦略が
異なるというわけではありません。
なぜトラックポジションを重視するのか
トラックポジション重視の戦略を紹介しましたが、
レースは速く走ったもの勝ちなので、シンプルに考えれば
ペース重視の方が有利と言えるでしょう。
これにはオーバーテイク(追い抜き)の難しさが鍵となっています。
仮に、他のマシンの影響を受けることなくレースを終えられるのであれば、
もちろんペース重視の戦略のほうが速く走れます。
しかし実際には、異なる戦略をとった、異なるペースのマシンが同時に
コースを周回しています。
ペース重視の戦略が2ストップ戦略、トラックポジション重視の戦略が1ストップだった場合、
ペース重視のドライバーは、ピットストップで失った約24秒を挽回するだけでなく、
1ストップのライバルをオーバーテイクする必要があります。
F1において、このオーバーテイクはそう簡単には決まりません。
なぜオーバーテイクは難しいのか
給油が可能だった時代には、戦略の違いによるペースの違いは今よりも大きいものでした。
これは、搭載している燃料の重量が異なること、
1周あたりに使う燃料に差があること等によるものです。
これにより、ポジション争いをするよりも、譲ることを選ぶのも戦略の一つでしたが、
給油が禁止されている場合は、ライバル車とのペース差はそこまで大きくはなりません。
ペースがよく、前のマシンに近づいたとしても、3秒程度まで近づけば
乱流の影響を受けコーナーでのダウンフォース不足に悩まされます。
ストレートでトウ(スリップストリーム)やDRSを使用できたとしても、
前のマシンからの排熱により、パワーユニットの冷却不足に陥ります。
また、安全性や給油禁止により燃料タンクが大きくなったことにより、
マシンは肥大化しており、並走してコーナーに入ることが難しくなっています。
特に、マシンが空力を重視するようになったことと、肥大化したことが
昔のF1に比べ、オーバーテイクを難しくした原因とされており、
トラックポジション重視の戦略がより見られるようになりました。
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