レギュレーションで禁止されるかもしれないと噂の予選モード。
そもそも予選モードとは何なのでしょうか?
予選モード以外にも「モード」と呼ばれるものはあるのでしょうか?
解説したいと思います。
「モード」とは?
「モード」とは主にエンジンモードのことを指します。つまり、パワーユニット(PU)の出力を高めたり、抑えたりするものです。
PUの出力と耐久性は基本的にトレードオフの関係にあるため、どちらを優先するか、その場面によって使い分けるためにエンジンモードが存在します。
「F1は最速を決めるスポーツなのに、出力を抑えることがあるの?」と疑問に思うかもしれませんが、これには現在のF1のレギュレーションが関係しています。
PUの交換可能基数
昔のF1では、エンジンは1レース使い捨て、予選だけに1基使う、などということもありましたが、このエンジンの使い方では莫大な費用がかかり、予算のあるチームとそうでないチームで差が広がるという理由で、1シーズンで使えるエンジンの数に制限がかかるようになりました。
現在では、1シーズンあたり3基まで、というレギュレーションです。
少し細かいことを言うと、PUは、ICE、ターボ、MGU-H、MGU-Kの4つの主要部品から構成され、これら1つ1つが3基まで交換できる、これを超えるとペナルティという規則です。
1シーズンあたり20を超える数のレースをたった3基のPUでやりくりするために、耐久性が重要視されるようになりました。
予選モードとは?
長々と出力と耐久性の話をしましたが、結局予選モードとはどのようなモードなのでしょうか。
予選は一発の速さのみが重要なため、出力重視のモードが使われます。
これが予選モードと呼ばれるものです。
決勝レースではタイヤマネジメントなどのため、ペースを抑えます。
このため、出力より耐久性を重視したモードが使われます。
その他のエンジンモード
実際には、細かいモードがかなりの数存在します。
RedBull・HONDAのフェルスタッペンが勝利をおさめた2019年オーストリアGPでは、「エンジン11・ポジション5」が話題となりました。
これは、前を走るフェラーリのルクレールをオーバーテイクするために、耐久性を犠牲にしてでも出力を重視するという攻めの無線でした。
ここからも分かる通り、エンジンモードには様々な種類があり、ドライバーは決勝レース中に、ステアリングを操作しモード変更を行っています。
決勝レース中、ドライバーが無線で「オーバーテイクのためにいいモードをくれ!」と言っているシーンを見かけると思います。
出力が重視される場面では、このようなモードを瞬間的に使用することがあります。
テレビの実況解説では、エンジンの耐久性を前借りすると言われています。
予選でのタイヤの使い方、戦略については以下で解説しているのでぜひ見てください。