F1のタイヤはピレリ社によるワンメイクとなっており、
レース戦略に幅を持たせるという観点から、
あえて摩耗しやすいタイヤを採用しており、
非常に繊細なタイヤになっています。
解説では、しばしばタイヤを縦に使う、横に使うという単語が出てきますが、
それがどういうことなのか、速く走るためにはタイヤをどう使うべきなのかについて
解説しようと思います。
縦と横とは
タイヤを縦に使うとは、加速減速時のことを指し、
横に使うとは、旋回時のことを指します。そのままですね。
もう少し詳しく書くと、加速時には駆動輪であるリアタイヤ、
減速時にはより荷重がかかる前輪タイヤ(荷重がかかりグリップ力が大きいため
ブレーキバイアスが前よりになっています)、
旋回時には、外側のタイヤを消費します。
荷重とグリップについては以下の記事で解説していますので、
そちらをご覧ください。
どう使えば速く走れるのか
では、タイヤをどのように使えば速く走れるのでしょうか。
一番初めに考えつくのは、ブレーキをできるだけ我慢する、
ブレーキを遅らせるということです。この場合ももちろん、
旋回できる速度は変わらないので、コーナー入口直後までブレーキを
踏み続ける必要があります。
ここで、タイヤのグリップ力について考えてみましょう。
縦方向のグリップと横方向のグリップは独立しているわけではありません。
つまり、グリップ力が100あるとすると、
縦方向に30使ってしまうと、横方向には70しか使えません。
もちろんブレーキを残すことによってフロント荷重は増えるので、
前輪のグリップ力は向上するという要素もありますが、
タイヤの消耗が大きくなりますし、加速減速せず、
グリップ力を横方向に100使えるほうがコーナー全体のタイムは向上します。
国際映像で、ブレーキとアクセルをどう踏んでいるかというグラフが
表示されることがあるので見てみてください。
基本的に、旋回しながらブレーキを踏むことはありません。
減速時には縦方向にタイヤを100使う、旋回時には横方向にタイヤを100使う
というような走り方が基本的にはタイヤにも優しく速くなります。
ただ、1週の速さを競う予選では、例外的にブレーキを残す走り方が見られることもあります。