理系のF1解説

F1をテーマとしたブログです。理系の解説とありますが、基本的に個人のファンによる意見と捉えていただけると幸いです。

F1用語集

F1 用語解説 タイヤの縦と横

投稿日:2021年5月8日 更新日:

F1のタイヤはピレリ社によるワンメイクとなっており、

レース戦略に幅を持たせるという観点から、

あえて摩耗しやすいタイヤを採用しており、

非常に繊細なタイヤになっています。

解説では、しばしばタイヤを縦に使う、横に使うという単語が出てきますが、

それがどういうことなのか、速く走るためにはタイヤをどう使うべきなのかについて

解説しようと思います。

縦と横とは

タイヤを縦に使うとは、加速減速時のことを指し、

横に使うとは、旋回時のことを指します。そのままですね。

もう少し詳しく書くと、加速時には駆動輪であるリアタイヤ、

減速時にはより荷重がかかる前輪タイヤ(荷重がかかりグリップ力が大きいため

ブレーキバイアスが前よりになっています)、

旋回時には、外側のタイヤを消費します。

荷重とグリップについては以下の記事で解説していますので、

そちらをご覧ください。

F1 用語解説 荷重とグリップ

どう使えば速く走れるのか

では、タイヤをどのように使えば速く走れるのでしょうか。

一番初めに考えつくのは、ブレーキをできるだけ我慢する、

ブレーキを遅らせるということです。この場合ももちろん、

旋回できる速度は変わらないので、コーナー入口直後までブレーキを

踏み続ける必要があります。

ここで、タイヤのグリップ力について考えてみましょう。

縦方向のグリップと横方向のグリップは独立しているわけではありません。

つまり、グリップ力が100あるとすると、

縦方向に30使ってしまうと、横方向には70しか使えません。

もちろんブレーキを残すことによってフロント荷重は増えるので、

前輪のグリップ力は向上するという要素もありますが、

タイヤの消耗が大きくなりますし、加速減速せず、

グリップ力を横方向に100使えるほうがコーナー全体のタイムは向上します。

国際映像で、ブレーキとアクセルをどう踏んでいるかというグラフが

表示されることがあるので見てみてください。

基本的に、旋回しながらブレーキを踏むことはありません。

減速時には縦方向にタイヤを100使う、旋回時には横方向にタイヤを100使う

というような走り方が基本的にはタイヤにも優しく速くなります。

ただ、1週の速さを競う予選では、例外的にブレーキを残す走り方が見られることもあります。

-F1用語集
-, , , , , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

no image

F1 用語解説 ポーポシング

F1は2022年からレギュレーションが大幅に刷新され、 マシンは、これまでと異なる問題が生じており、その1つに ポーポシングが挙げられます。 今回はこのポーポシングについて解説しようと思います。 ポー …

no image

F1 用語解説 セーフティーカー

レース中に、クラッシュやデブリの飛散など、 コース上に異常が生じると出されるセーフティーカー。 ポジション争いの鍵を握ることが多いこのセーフティーカーについて その役割と、なぜレースを動かすのかについ …

no image

F1 用語解説 タイヤのコンパウンド

F1ではレース週末に用いるタイヤは、ソフト、ミディアム、ハードの3種類(ウェットタイヤを除く)があり、 このタイヤの種類のことをタイヤのコンパウンドと呼びます。 今回はこのタイヤのコンパウンドについて …

no image

F1 用語解説 トラックリミット

近頃、取り上げられることが多くなったトラックリミットについて解説しようと思います。 そもそもトラックリミットとは トラックリミットとは、コース外を走行することによるゲイン(利益を得ること)を 防ぐ目的 …

no image

F1 用語解説 共通パーツ

F1は同じマシンを走らせるワンメイクレースではなく、 各チームがそれぞれのF1マシンを独自に製造します。 これにより、各チームごとのオリジナリティ溢れるマシンを見ることができ、 F1の魅力の一つなって …