F1で使用されているタイヤは非常に繊細です。
そのグリップ力をどのように引き出しているのか、
そもそもグリップ力は何で決まるのかについて解説しようと思います。
タイヤのグリップは何で決まるのか
タイヤのグリップは、摩擦力と言えます。
高校物理の範囲では、固体同士の摩擦力は、
(摩擦力) = (摩擦係数) × (垂直抗力)
で決まります。
路面とタイヤを固体同士と言えるかは微妙ですが、
おおよそこの理解で問題ないと思われます。
もう少し噛み砕いていきましょう。
摩擦係数とは
まず、摩擦係数には静止摩擦係数と動摩擦係数の2種類があり、
マシンは動いているものの、タイヤの接地面と路面は
静止している(滑っていない)ので、静止摩擦係数を用います。
一般的に静止摩擦係数の方が動摩擦係数に比べ大きいので、
タイヤが滑ると挙動が乱れやすくなります。
ちなみに、この物理では摩擦係数をμ(ミュー)という文字で表すことが多いため、
路面のミューが高い、低いとよく表現されます。
垂直抗力とは
次に、垂直抗力はタイヤに掛かる荷重と等しくなります。
荷重は、マシンにかかる重力や空力のダウンフォース等の和になります。
F1がダウンフォースを追求しているのは、マシン重量を増やすことなく
荷重を増やすことができる(グリップ力を上げられる)ためです。
荷重をコントロールするには
荷重は、重力やダウンフォース等の和と書きましたが、
4つのタイヤに均等に荷重がかかっているわけではなく、
マシンの状況によって大きく異なります。
具体的には、減速時には前荷重、旋回時にはアウト側荷重、
加速時には後ろ荷重になります。
乗用車を運転する際にも荷重は感じられるため、想像しやすいかと思います。
速く走るため、タイヤを上手く使うためにはこの荷重をコントロールする必要があります。
例えば、コーナー入り口では、マシンの向きを変えるために必要な前輪へと
荷重を移動させるために、ブレーキを離さず、軽く踏み続ける(ブレーキを残す)という技術や、
コーナリング中には、均等にタイヤを使うためにパーシャルスロットル
(減速も加速もしない程度にアクセルを踏む)を維持したりという技術があります。
この他にも、瞬間的に前荷重を生じさせる左足ブレーキ
(右足でアクセルを踏みながら左足でブレーキを踏むこと)を用いたりもします。
もちろんこの他にもタイヤには作動温度領域や、摩耗が存在するため、
一概に荷重だけでグリップ力は決まりません。
作動温度領域やラップタイムについては以下の記事で解説していますので、
そちらをご覧ください。
[…] F1 用語解説 荷重とグリップ […]
[…] F1 用語解説 荷重とグリップ […]
[…] F1 用語解説 荷重とグリップ […]
[…] F1 用語解説 荷重とグリップ […]
[…] F1 用語解説 荷重とグリップ […]