理系のF1解説

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F1 戦略

F1 戦略 予選

投稿日:2020年7月27日 更新日:

決勝レースのスターティンググリッドを決める重要な予選。

決勝レースでは、タイヤを保たせたり、燃料を節約する目的でペースをコントロールしながらの走行になりますが、

予選では、1周を全開で走るため、純粋なマシンの速さが求められることになり

決勝レースとは異なる面白さがあります。

そんな予選のルールや見どころについて解説したいと思います。

Q1、Q2、Q3とは

2005年以前の予選は、各車1台ずつ出生しタイム計測を行う方式でしたが、

現在は、Q1、Q2、Q3の3つのセッションに分けられるノックアウト方式となっています。

Q1、Q2それぞれでタイムの遅い5台のマシンがノックアウトとなり、次のセッションに進むことができなくなるため、

Q1では20台、Q2では15台、Q3では10台のマシンが同時に走行することになります。

この方式のため、ストレートスピードを稼ぐ目的で、同一チームでトウを与える(先行するマシンの後方に付き空気抵抗を軽減する)戦略が可能となります。

また、セッション中、各マシンはそれぞれのタイミングでタイムアタックすることになるため、

特に台数の多いQ1では、ペースの早いアタック中のマシンと、ペースの遅いマシンが同時にトラック上に存在し、走行妨害や接触が問題となることがあります。

Q1の詳細と見どころ

Q1の走行時間は18分間であり、下位5台、つまり16位から20位までの順位が確定します。

マシンが走行することでラバーイン(溶けたタイヤが路面に付着し、路面のグリップが上がること)するため、セッションの後半ほど速いタイムが出ます。

これは全てのセッションに共通することですが、マシンの台数が多く時間の長いQ1では、特にラバーインの影響が大きくなります。

また、予選で主に使用されるソフトタイヤの寿命は短く、タイヤの1番グリップ力が高い状態は1ラップ維持できるかどうかです。

このため、Q3の進出を考えている上位チームは予選で使用するソフトタイヤを温存する必要があり、

1度のアタックでQ2に進出できるタイムを出せるかどうかも見どころとなります。

Q1の終了後、7分間のインターバルを挟んでQ2が開始されます。

なお、Q2に進出したドライバーのタイムは消去され、リセットされた状態でQ2が開始されます。

Q2の詳細と見どころ

Q2の走行時間は15分であり、さらに下位5台、つまり11位から15位までの順位が確定します。

Q2を突破したドライバーは、Q2で最速タイムを出したタイヤで決勝レースをスタートする義務があります。

このため、最もタイムの出やすいソフトタイヤではなく、ミディアムタイヤでQ2突破を目指す戦略が存在します。

これは、寿命の短いソフトタイヤで決勝レースをスタートするよりも、ミディアムスタートの方が、戦略の幅を広げられるためです。

ただし、この戦略はミディアムタイヤでQ2を突破する必要があるため、上位チームでよく採用されます。

この戦略が取れない場合、Q3で使うソフトタイヤを残すため、Q2突破可能なタイムを1発で出すことが求められます。

また、ソフトスタートの10位よりもミディアム、ハードスタートの11位の方が決勝レースで有利となることもあり得ます。

Q2の終了後、8分間のインターバルを挟んでQ3が開始されます。

なお、Q3に進出したドライバーのタイムは消去され、リセットされた状態でQ3が開始されます。

Q3の詳細と見どころ

Q3の走行時間は12分であり、1位から10位までのすべての順位が確定します。

また、Q3専用に用意されるソフトタイヤの使用義務があります。

これは、「Q3に進出しないことで、ソフトタイヤの数での有利を取ること」を防ぐ意味合いもあると思われます。

このセッションでのタイムで順位が確定するため上位勢の全開アタックが見られることになります。

Q3では、2回のアタックを行うことが多く、2回目のアタックはラバーインの関係で、

セッション終了ギリギリに出走することが多いです。

(正確には、ピットアウトした次のラップでアタックすることになるため、セッション終了までにアウトラップを終えられるギリギリ、ということになります。)

しかし、ギリギリの出走にはデメリットも存在するためタイミングの駆け引きが見られます。

後ろで出走するメリットから挙げていきます。

・先述の通り、ラバーインによるタイムの向上が見込まれます。

・先行するマシンのトウを得ることでストレートスピードを稼ぐことができます。

・アウトラップ中のタイヤへの熱入れを自由に行うことが出来ます。

次に、デメリットを挙げていきます。

・走行するマシンの後方は乱流が発生し、特にコーナーにおいてマシンが安定しないことから、コーナーでタイムを失います。

・上記の理由から先行するマシンと間隔を開ける必要があり、タイヤの熱入れが制限されます。

・先行するマシンのアウトラップが遅い場合、制限時間内にアウトラップを終えられない場合があります。

これは、アウトラップ中に追い越しはしないというドライバー同士の暗黙のルールが存在するためです。

これらのメリットデメリットを考慮し、どのタイミングで出走するかを決定します。

以上のことを理解すれば、予選の観戦も楽しめると思います。

決勝レースの戦略は以下で解説しています。

F1 用語解説 アンダーカットとオーバーカット

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