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F1 F1用語集

F1 用語解説 デグラデーションとブリスター

投稿日:2020年8月10日 更新日:

F1の決勝レース中、非常に重要になるのタイヤのマネジメント。

そこでよく言われるのがタイヤのデグラデーションとブリスターという単語です。

今回はこれらの単語について解説したいと思います。

デグラデーションとは

まずデグラデーションから解説します。

直訳すると、「劣化」、「下降」であり、俗に言う「タイヤのタレ」、「タレる」ということです。

マシンを走らせれば、走らせるほど、タイヤは摩耗します。

それにより、タイヤの性能が低下、つまりグリップ力が低下します。

タイヤの性能にはいわゆる「崖」というものがあり、そこを超えると一気に性能が低下するのですが、そこまではおおよそ直線的に性能が低下します。

デグラデーションは、この直線的に低下している領域を指すと考えてもらえれば大丈夫です。

ブリスターとは

デグラデーション、ブリスターともにタイヤの性能低下を指すのですが、

デグラデーションは目に見えない性能低下であるのに対し、

ブリスターは目に見えてわかる性能低下です。

タイヤに黒い線や模様が見られることがありますが、あれがブリスターになります。

タイヤには作動温度領域というものがあり、これはタイヤの持つ潜在的なグリップ力を最も引き出せるタイヤの温度を指します。

この温度より低くても高くてもグリップ力は低くなります。

ブリスターは作動温度領域より温度が高いと発生します。

タイヤの温度が高くなりすぎると、タイヤのゴムに含まれた空気や水分が熱せられ、膨張することによりタイヤに孔ができます。

この孔がタイヤ表面で発生した場合、ブリスターが出ていると表現されます。

タイヤと路面の接地面積が減少し、グリップはデグラデーションに加えさらに低下します。

また、タイヤを作動温度領域内に管理できていない、マネジメントできていない苦しい走行を強いられているという証拠でもあります。

ちなみに、タイヤ内部で発生した場合もタイヤの構造がもろくなるため、やはりタイヤの性能は低下します。

タイヤの作動温度領域に上限があるのはこれも原因です。

また、タイヤ交換直後はタイヤの温度が低く、ラップタイムは遅くなります。

これについては以下でより詳しく解説しているのでぜひ見てください。

F1 タイヤ交換後のラップタイム

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