2021年シーズンはレッドブル・ホンダのフェルスタッペンと
王者メルセデスのハミルトンとの激しいチャンピオン争いが見られるようになり、
たった1ポイントのファステストラップポイントを争うシーンが多くなりました。
そんなファステストラップポイント獲得のための戦略を解説しようと思います。
ファステストラップとは
ファステストラップについては以下の記事で解説しておりますので、
そちらをご覧ください。
フリーストップが得られるかどうか
ファステストラップを記録する場合、
ライバルチームにターゲットタイムを知られることを防ぐために
ファイナルラップ付近で記録することがセオリーです。
しかし、酷使したタイヤで最速ラップを狙うことは難しく、
新品もしくは予選で使用した3周オールドのタイヤで
アタックすることが理想です。
ここで、フリーストップが得られるかどうかが鍵となります。
ファステストラップポイント獲得のためにポジションを失うようでは
本末転倒であるため、後続に対しピット作業で失う約24秒のギャップ
(もちろんコースによって異なります)を稼いでいるドライバーが
最も有利となります。
具体的には上位勢の最後尾のドライバーがフリーストップを得られることが多いです。
しかし、フリーストップが得られるからと言って早めにピットインしてしまうと
その一つ前のドライバーにもフリーストップを与えてしまうため、
タイミングを図る必要があります。
ファイナルラップでファステストラップを記録するのであれば、
その2周前にピットインするのが理想です。
例えば、50周のレースであれば、48周目にピットインを行い(インラップ)、
49周目のアウトラップでタイヤを温め、バッテリーをチャージし、
50周目にアタックラップを行うという流れになります。
2021年シーズン第3戦ポルトガルGPでは、66周の周回数でしたが、
63周目にフリーストップの権利を有していた3番手を走行するボッタスが
ピットインし、64周目のチャージラップを挟んで
65周目にファステストラップを記録しました。
この63周目のボッタスの動きを見て、その1つ前を走行していた
フェルスタッペンが反応し、64周目にピットイン、
65周目にチャージラップを行い、66周目のファイナルラップに
ファステストを記録しました。
結果的には、フェルスタッペンのファステストラップは
トラックリミットを違反していたため、ボッタスにポイントが加算されましたが、
フェルスタッペンにチャンスを与えてしまう作戦となりました。
もちろん、これにはクリアラップ(前を走行するマシンがいないラップ)が
とれるかというタイミングの問題や、
路面コンディションからタイヤの温めに2周かかる可能性があった等の
外からはわかりづらい要因が考えられますので、
一概に愚策とは言い切れません。
フリーストップを得られない場合
ポイント圏内の誰もフリーストップの権利を持っていない場合は、
酷使したタイヤでの勝負となります。
この場合でも、タイヤの温め(タイヤ温度を作動温度領域に入れる)や
バッテリーのチャージは必要となるため、
アタックラップに入る1周前の準備が不可欠です。
[…] F1 戦略 ファステストラップ […]