近頃、取り上げられることが多くなったトラックリミットについて解説しようと思います。
そもそもトラックリミットとは
トラックリミットとは、コース外を走行することによるゲイン(利益を得ること)を
防ぐ目的で設定された走行して良いコースの範囲を指しており、
トラックリミットを違反すると、ペナルティが課されます。
ペナルティの種類について
フリー走行や予選でのトラックリミット違反を行うと
その周回のタイムが取り消されます。
フリー走行でのタイム取り消しはそこまで大きな影響はありませんが、
予選でのタイム取り消しは、時間制限の厳しい中、再度のアタックを強いられるという点で
ドライバーは一発の速さを見せなければならない反面、
トラックリミットについて細心の注意を払う必要があります。
決勝では、タイム取り消しは意味をなさないため別のペナルティが課されます。
トラックリミット違反を繰り返した場合に、黒白旗(警告旗とも呼べれます)が振られます。
流れとしては、「あと一回で黒白旗が振られる」という警告メッセージが出され、
その後、違反した場合に黒白旗が振られます。
さらに違反を繰り返すとタイムペナルティなどの実効的なペナルティが課されますが、
実際はそこまでトラックリミット違反を繰り返すことはほとんどありません。
決勝でのファステストラップについてはファステストラップポイントに関わるため、
トラックリミットを違反した場合は、タイムが取り消されます。
また、トラックリミットを違反してのオーバーテイクについては、
ポジションを入れ替え、元に戻す必要がありますが、
レーススタート直後のマシンが混雑している状況では、
やや甘めの裁定が下されることが多くなっています。
なぜトラックリミットが必要なのか
冒頭に、トラックリミットはコース外を走行することによるゲインを防ぐ目的がある
と書きましたが、そもそもそのようなゲインは基本的にはありません。
インカット(ショートカット)が可能なコーナーでは、ソーセージ縁石と呼ばれる
黄色い大きな縁石が設置されていたり、そもそもコース外は舗装されていないため
ペナルティを与えられずとも、ラップタイムに悪影響を及ぼすことがほとんどです。
しかし、近代のサーキットは安全性の観点から、
コースオフした場合もマシンをコントロールできるように、
コース外も舗装されているサーキットが多くなってきています。
このため、一部のコーナーについてはコース外を走行することで、
ゲインを得ることが可能となっており、そのようなコーナーについては
トラックリミットを設定されています。
しかし、このトラックリミットについてはどこからを違反とするのかという定義が
フリー走行から決勝レースまで一貫されていないことや、
コーナーごとにも異なるという曖昧さが、
多くの混乱を招いているのが現状です。
トラックリミットの是非については別の記事で考察していますので、
そちらをご覧ください。
[…] F1 用語解説 トラックリミット […]